2014/08/29

【承前】俳人さんたちが「口語俳句」という場合の「口語」って、私の考える「口語体」とは別物のような気がしてきた。…あるいは金原まさ子、小津夜景の最近作のこと

このところ「口語俳句」といわれているものの「口語」とは、私からすると「口語体」ではなく「おしゃべり体」とでもいうべきもの。

なんか、話が、私のアタマんなかと嚙み合わないなあ、と思っていたのですよ。

「おしゃべり体」あるいは「会話体」(造語ですよ、為念)。



で、金原まさ子さんは、文語体と口語体(と「おしゃべり体」)を自在に自由に駆使されているように思うので、「おためし小皿料理 munu degustation」(『豈』第56号・2014年7月)からピックアップ。

春陰の綴じ目綴じ目のかんぜより  金原まさ子:文語体

見えるので葱のむこうを視てしまう  同:口語体

あさってからわたしは二階の折鶴よ  同:おしゃべり体


ついでに(というと失礼だけれど)、小津夜景「庭を横切る影」より。

けふ還り逢ふとも知らで黴の家   小津夜景:文語体

うつせみの手に阻まれた椅子がある  同:口語体


と、まあ、いちおうラベル付けをしてみましたが、どれも好きな句。

(この「庭を横切る影」は充実ですね)

ちなみに、『豈』の金原まさ子さんのページ(p16)の対向ページ(p17)には小津夜景さんの「ジョイフル・ノイズ」20句。1と2に分けられた10句ずつは、ぞれぞれおおまかに文語体(的ノリ)と口語体(的ノリ)に区別されているようにも読める。

眠り男の皿に不屈のゼリーかな  小津夜景:文語体

人生のすべてが白玉にもどる  同:口語体

で、

短夜のエレピは捩れあっている  同

…は、ちょっと「おしゃべり体」かな。エレピ(エレクトリック・ピアノ)なんて略語が使われているし。


ゼリー状の睡眠。

魂のかたちした白玉。

こちらも「おためし小皿料理」ですな。BGMはジャズマンがバイトで弾くエレピ。


と書いているうちに、口語体とか文語体とか、どうでもよくなっちゃった。ごめんな。


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