2019/11/27

■ひとの球・露の玉 『奎』第11号の一句

ボウリングをときどきひとの球や露  有櫛くらげ

ボールには見えない通り道があってシート近くのボール溜まりに並ぶ。色や重さは違うのだけれど、うっかり他人の球を持ってしまう/投げてしまうことはありそう(って、こんなにまわりくどく書かなくても、状況はよくわかる)。でも「ときどき」は頻度高すぎるだろ?

助詞「を」を上6音承知できちんと入れた点、好感。ここは助詞要るだろうってとこも省略してむりくり5音にしている句をよく見かける(纏足的5音と呼ぶ)。

季語の「露」はえらく唐突だ。あまり意味はなくて、ほんと唐突。2音しか余らなければ使える季語は限られる。いいかげんな動機、フマジメな態度が垣間見え、そこも好ましく、「露の玉」からの連想、あるいは「露の玉」が見え隠れしている句と解すのも愉快。

掲句は『奎』第11号(2019年9月12日)より。


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