2019/11/15

■梅の筆跡 『Υ(ユプシロン)』第2号より

梅三分茅舎の筆跡の丸み  仲田陽子

川端茅舎の字を調べちゃったわけですが、ネットで気軽に探そうったって、そううまくいきません。あんまり出てこない。それでも、なんとか、これとか(→画像)。

なるほど、いい字だ。ってわかったようなことを言ってしまいましたが、訂正。好きな字。

字と梅は相性がいい。とりわけ墨の字だと、ダイレクトに梅の絵へと意識がいざなわれる。「三分」の固さは、やわらかな字のかたちに隣り合う紙の硬質や字の中の直線を想起させ、いいあんばい。

掲句は『Υ(ユプシロン)』第2号(2019年11月1日)掲載の仲田陽子「日にち薬」より。

冬から秋へきちんと並んだ連作50句には、

木枯は微かに錆の匂いして 同

といった比喩の駆使から、

誰かから抜けたる羽毛水温む 同

といった飄逸、

ワゴン車の定員満たし潮干狩 同

といった何気なさまで、モチーフやアプローチは幅広い。全体を通して、季語の坐りの的確さ、バランスの良さを思う50句。品質キープ力に長けたアルチザン的俳人さんなんだなあ、と思ったことですよ。






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