2019/11/14

■滝の輝き 『Υ(ユプシロン)』第2号より

いちにちの果て月光を着たる滝  小林かんな

「果て」は直接的な文脈では時間の範疇。けれども、滝があることで、地理的な「果て」もかすかに響く。

いろいろあったかなかったか、ともかく、その一日が終わり、道程の終わり、月光に輝く滝。

「着たる」の擬人法がそれほど気にならず、浴びる、帯びる、包まれるといった、より擬人から遠い措辞よりもむしろ効果的に思えるのは、滝の〈立ち姿〉が美しく現前化するからだろう。

掲句は『Υ(ユプシロン)』第2号(2019年11月1日)掲載の小林かんな「一分動画」より。

同作品の、

長時間露光鯨の裏返る  同

もまた前掲句と同様、美しく輝く景。


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