(レンタルDVD)2005年・イギリス
ジェーン・オースティン『高慢と偏見』(Pride and Prejudice)は、残念ながら読んでいない。サマセット・モームの「世界十大小説」に入っているにもかかわらず。モームは好きであるにもかかわらず。
ヒロインが、なんだかんだあった末に玉の輿に乗る、というのがこの話の骨子。周辺エピソードも含め、「玉の輿」映画といっていい(原作も「玉の輿」小説なのだろう)。
18世紀のイギリス。登場人物はジェントリ=大地主階級(そういえば世界史の授業で、こんなの出てきました)。当時のイギリスでは女性に相続権がなく、金持ちに生まれても、裕福な人生を送れるとは限らない。どんな男と結婚するかで、暮らし向きが決まる。だから必死である。必死の素は裕福に暮らしたいという物質的欲望だから、現金な話なのだが、そのなかで現金じゃない、つまりガツガツしない女性が、最後は、いちばんの玉の輿に乗れる、という物語の王道。
ヒロイン(キーラ・ナイトレイ。パイレーツ・オヴ・カリビアンの人です)の家庭はジェントリの最下層。おっかさんが品なくて笑える。妹たちは無教育・無教養。最下層とはいえ、大地主階級。いくらなんでも、これはなあ、とは思うが、このへん容赦なく脂っこく描いているところがおもしろい(おそらく原作がそうなのだろう)。
で、そんな逆境にもめげないヒロインは、何が何でも結婚したいわけじゃないのに、とんでもない大金持ちの御曹司(ジェントリの上層)の心を射止めてしまう。そのへんがいかにも「お話」なわけだが、美貌という条件を忘れてはいけない。
女は顔。男は財力。
すがすがしいほどきっちり割り切れている。
映画はきちんと出来ている。まずもって絵がきれい。イギリスの田園って、行ったことないけど、こんなにきれいなんですねえ。ストーリーは冒頭で(というよりタイトルですでに)結末が読めるタイプのもので、そのわりにダレないのは、全体がよく整理されてもいるのだろう。
で、星は、2つ。
まずまずよく出来た映画であることはわかるが、この手の話は、映画が終わったとき、「で?」と、どうしても冷淡な反応になってしまう。筋がどう転ぼうが興味がないのだから、しかたがない。
ひとつ、貴族ではなくジェントリでも、上は、こんなに凄い金持ちなの?と、御曹司の邸宅を観て吃驚。貴族だと、どうなっちゃうんだろう。
2 件のコメント:
原作は訳で読んだ。
翻訳業をしている、友人に、英文Vs米文との違い について、話をした。
英文:関係代名詞が多くて、好きなんだけれども、苦労はするといっていた。
買わなくても、ネット上で読めますね。
ココ
ざっと見ると、多視点の小説のようです(映画はヒロイン視線)。
この小説、書かれたのは18世紀終わり頃ですから、日本でいえば『東海道中膝栗毛』や『浮世風呂』の少し前という時期。なるほどー、です。
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