2017/06/30

■あの時期のソメイヨシノ 『なんぢや』第37号より

ゆつくりと吹かれて染井吉野は葉  太田うさぎ

2系統の季語「花は葉に」と夏(初夏)の風に関する「青葉風」「風薫る」を同居させたような句。

ともかく、気持ちがいい。あの時期の爽やかさ、上質の空気が充満している。


掲句は『なんぢや』第37号(2017年6月10日)より。



で、ちょっと話がそれるのですが、韻律の話。

この句は、17音。

これ、16音、つまり、

 ゆつくりと吹かれ染井吉野は葉

としても、違和感のない韻律(に私には思える)。

句跨りで、ときどき生じるのですが、中を6音にするかどうか、という問題。

定型=17音と杓子定規に考えるなら、掲句、「て」が要る。

けれども、「て」がなくても、「吹かれ」の後ろあたりに休符が生まれ、声に出しても、問題がないのですよね。

と、これは掲句の評価とか推敲ということではなく、句跨りって、検討箇所が多くて、おもしろいのですよ、という話。


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