「サァサァ皆さんお聞きなさい深い意趣遺恨のあるでもないに只お金を貸さぬばかりの事で男を殺害したる前代未聞無類飛切りともいうべき女の大罪人が出来ました。……」
大道香具師の呼びこみめくが、これがレッキとした新聞記事である。要点を抽出し、誇張すべき点を誇張していて、キャッチ・フレーズとしての正統派と私は思う。
右は、高橋お伝捕縛の記事の書きだし。一八七六年(明治九年)九月一二日付の東京新聞の雑報である。
小沢信男『定本犯罪紳士録』(ちくま文庫/1990年)
「いうべき」は当時なら「いふべき」なのでしょうが、そこ(旧仮名・新仮名)にこだわることもない。
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