蚊帳の天井草原を駈ける馬 加田由美〔*1〕
白蚊帳に森の匂ひの夜来たる 篠崎央子〔*2〕
蚊帳は素材(麻)からして、植物的なイメージが強い。いわば草に覆われているようなぐあいになる。
一句目。仰臥の視野を馬が駈ける。鮮烈で、すがすがしいイメージ。だが、蚊帳の効果だろう、しっとりとした心の肌理が備わる。
二句目。夜が蚊帳の外、蚊帳の遠くからやってくるわけだが、草の匂い、植物の匂いを伴う点、感興。
〔*1〕『翔臨』第99号(2020年10月31日)所収・加田由美「隣町」10句より。
〔*2〕篠崎央子句集『火の貌』(2020年8月/ふらんす堂)より。
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