2021/01/05

■植物的インテリアとしての蚊帳

冬のさなかに蚊帳の話題で恐縮ですが。

蚊帳の天井草原を駈ける馬  加田由美〔*1〕

白蚊帳に森の匂ひの夜来たる  篠崎央子〔*2〕

蚊帳は素材(麻)からして、植物的なイメージが強い。いわば草に覆われているようなぐあいになる。

一句目。仰臥の視野を馬が駈ける。鮮烈で、すがすがしいイメージ。だが、蚊帳の効果だろう、しっとりとした心の肌理が備わる。

二句目。夜が蚊帳の外、蚊帳の遠くからやってくるわけだが、草の匂い、植物の匂いを伴う点、感興。


〔*1〕『翔臨』第99号(2020年10月31日)所収・加田由美「隣町」10句より。
〔*2〕篠崎央子句集『火の貌』(2020年8月/ふらんす堂)より。


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