八田木枯「世に棲む日々」10句(「週刊俳句」第119号・2009年8月2日)の後半5句はすべてチンドン屋の句。そこで思い出したのが、この句。
鳥交る世にチンドン屋ある限り 八田木枯
所載は『汗馬楽鈔』(深夜叢書社1988)。1947年から1957年まで10年間、20代の句が収められている。
20代でこの句をつくったのち、週俳の5句は、半世紀以上にわたって温められた、あるいは半世紀以上ぶりに復活した題材ということになろうか。八田木枯さんの頭か心かの片隅に、そんなにも長いこと、チンドン屋が存在しつづけたという事実が、俳句うんぬん以前に、ひじょうに興味深いです。
漂泊といえば漂泊。で、ちょっと情けないかんじ。チンドン屋の哀切の質は、やはり独特。
参照記事≫羽田野令・ちんどん屋:ウラハイ
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