2009/09/29

音楽の威力

怖い映画の怖いシーンらしいのですが…



BGMがこれだと、ぜんぜん怖くありません。

若い女の子が顔とからだになにか塗りたくって、階段でふざけているようにしか見えない。もうひとりの女性(おかあさん?)は、笑っていいのか叱っていいのかわらからず困っているようにしか見えない。

音楽の力は絶大です。

片桐はいり 一発の衝撃力

渚より片桐はいり来て笑う  近藤十四郎
あの、片桐はいりの顔が、渚から来るのですね。

1999年7月の句会が初出。このとき私は、「笑う」ではないほうがいいと思った。例えば「坐る」とか。つまり、笑わないほうがいい、なるべく何もしないほうがいいと思ったのだ。「片桐はいり」一発の衝撃力は認めつつも。

だが、今となって、さらに、その一発の衝撃力・破壊力は強大です。「笑う」も、いい。で、ふと、「渚より」にも、シブく衝撃力が隠されていると気づいたようなわけで。

出色の一句。

2009/09/28

バッティング

句会が重なる曜日がある。私の場合、現在のところ第3土曜(このあいだはどっちにも出ました。いわゆるハシゴ)
自分の勝手な都合で言えば、「あーあ、どうせなら両方とも一緒にやってくれればいいのに」などと思ってしまいますが(…)
週刊俳句第127号・後記・山口優夢
ふたつ一緒にしてしまえ、だなんて、むちゃくちゃ言っています(笑

2009/09/27

俳句自動生成スクリプト「ねここ ver.0.1」

三島ゆかりさんが犬猫短歌に触発されて開発した「ねここ ver.0.1」
こちら↓
http://www42.tok2.com/home/yukari3434/nekoko.html

こしのゆみこ「コイツァンの猫」から語を採ったらしく、語彙にかなりクセがあります。別の言い方をすれば、ロボットが自動で作り上げる「こしのワールド」。別語彙でver.0.2以降に期待(こしのワールドがイヤというのではありません)。

俳句自動生成スクリプトでは、季語の置きどころがひとつの問題になってくるのかもしれません。

贋ビートルズ

週刊俳句・第127号で「贋ビートルズ」
http://weekly-haiku.blogspot.com/2009/09/haiku-mp_27.html
コンピりました。

ラトルズ、ものまねのスティーヴ・リックス、中年ビートルズ、3つともイカサマ感が横溢。オススメです。

2009/09/25

勝手に副題

短歌自動生成スクリプト「犬猿短歌」の作成者、佐々木あらら氏のポッドキャスト(+仁尾智氏)がおもしろい。
フォレスト・ガンプ一期一会問題を弾劾する

つまり、ですね、なぜに「一期一会」なんて副題を付ける? 台無しだ、という話。まったくもってそのとおり。不要。そこで、いろいろな映画に四文字熟語を付けてしまおうというポッドキャスト企画です。どのネタもそうとうにおもしろい。必聴。

 

じゃあ、自分も、と考えてみるのですが…。

最近、レンタルで観たなかから「ファースト・フード・ネイション~肉食中心」とか、テレビでやっていた映画だと「おくりびと~葬儀下請」とか? あと、「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド~石油成金」とか、「グラン・トリノ~頑固親父」とか?

んんん、むずかしいです。

どんな句がつくりたいか?

…という問いに。

1) 夢路いとしのような句

2) 寝言のような句 ;かなり「素」な答え

3) 十人に一人、くすっと笑ってくれる句(二人だと×) ;この答えは「素」の度が過ぎて、よろしくない。

4) トイレの20ワット電球のような句 ;昔の桂三枝のネタにあったような気が。

5) 二通りの意味で「調子のいい」句

6) 俳人さんには褒められず、嫁はん(非・俳人)が「いい」と言う句 ;いまだに読者の優先順位の高位に「俳人さん」を置いていない(感じ悪いですね)ことをあらためて自覚。

7) 砂に水撒くような句 ;俗に言う「屁のつっぱりにもならない」という。

8) あきらめのいい句


こんなところか。このうち、いずれかが当てはまればいいということで、ハードルが低いのか高いのか、よくわからない。

10年とちょっと俳句のようなものをつくっていますが、きほん、うまく行きません。むずかしいものです。

2009/09/24

備忘録:ダムと報道

政治の話題ふたつ(互いに直接の関連ナシ)。

八ッ場ダム、とめどなく溢れる思考停止報道:保坂展人

■記者クラブの話 宮台真司のブログ記事

2009/09/23

星野しずる

短歌自動生成スクリプト「犬猿短歌」
http://1st.geocities.jp/sasakiarara/index.html

短歌のことはよくわかりませんが、よく出来ています。

Food Fight

2009/09/22

0勝900敗

…でも、ぜんぜん問題ない。



Oh you've lost 900 baseballs games.
And we kids all love to call you names.
And you never learned to fly a kite.
And your penless so you cannot write.
And at lunch you sit alone and mope.
You're a wishy washy kinda dope.
Charlie Brown, Charlie Brown, you don’t have one hope!

2009/09/21

海と毛糸玉

海見たき日やまつしろの毛糸玉  大井さち子
アタマのなかの、思いのなかの、あるいは記憶のなかの海と、白くて丸い毛糸玉の照応。読むときの気持ちよさや言葉の作用から受け取る刺激について、いつものことながら、語るべきことはほとんどない。

掲句は『秋の椅子』(2009年9月・邑書林)所収。作者は1960年生まれ、「鷹」同人。

2009/09/19

くにたち句会9月のお知らせ

9月27日(日)14:00 JR国立駅南口集合

句会場:キャットフィッシュ
http://www.e-shops.jp/local/lsh/an/13/2687181.html

作句後、拙宅に移動。

悪魔のように句を捻り、悪魔のように飲み食いします(なつかしいフレーズ)。

初めての方もひさしぶりの方も御常連の方も、
御一報いただければ幸いです。(夜の兵站の関係上)

2009/09/18

雨の煙突

煙突に雨がいちにち花ずはう  田中英花
煙るような雨の日は、なんとはなしに煙突を眺めてしまう。低い屋根から突き出た湯屋の煙突やら、道の遠くからでも見える焼却炉の煙突やら。雨量が変わらずコンスタントにいちにち降る雨と煙突はなんだかよく似合うので、見てしまう。花蘇芳も、いちにち煙るように降り続ける雨によく似合う花。季節は春。

掲句は『じやがたらの花』(2009年9月・ふらんす堂)より。「だだびろき海を見ている金屏風」の取り合わせの妙、「涅槃図の小鳥に風の出てきたり」の虚、「横に割るはずの炭なり盾に割れ」の飄逸。いろいろな句を楽しく読ませていただいた。

作者の略歴には、1949年生まれ、元「火星」、現「椋」会員とある。

2009/09/16

観たい

『キャピタリズム:ア・ラブ・ストーリー』はキリスト教徒マイケル・ムーアの資本主義批判

マイケル・ムーアは信頼している。なぜかは、説明しにくい。

筋を通すというなかに、愛嬌や含羞があると感じるからだろうか。

2009/09/15

薄い

「うすい・・・・うすいぞ~~オレの自伝は・・・・家電の説明書に負けるぞ・・・・」
古谷実『わにとかげぎす』第1巻(2006年9月・講談社)p31
家電の説明書より分厚い人なんて、いるのだろうか?

ひょっとしたらいるかもしれないけれど。

2009/09/14

短歌と俳句

週刊俳句・第125号、久留島元氏によるレポート記事をおもしろく読む。
坪内 俳句は題詠を使って思いがけない発想をする。
たとえば僕の句、「かまきりと結ぶ友情星月夜」(*2)
かまきりと友情を結ぶんです。バカげてますか?(笑)
道浦 いえ、バカげてはいません。(…)
はい、まったくバカげてなどいない。スウィート、と思う。このスィートネスは、好悪分かれるところかもしれない。

道浦 やはり自分の眼で見たい。短歌はどこまでも自己陶酔。自分にしか興味がない、
どこまで自分の内部に切り込んでいけるか、自分探しの旅だと思っている。
5グラムほどあった〔短歌への関心〕が消し飛んで、皆無となった瞬間。

でも、まあ、短歌のぜんぶがぜんぶ、そういうものでもないのだろうと思い直し、2グラムほど回復。

2009/09/13

岩石岩男デビュー

ずっと待っていて、やっと上がってきた岩石岩男(がんせき・いわお)2安打

がんばれ。

川柳と俳句

含蓄です↓
地図を見ると国境線が引かれているけれど、現実の土地には線なんかないんだ。俳句界から川柳を見るんじゃなくて、境界領域に身をおいてみると、もっと違った風景が見えるんじゃないかな。
小池正博:『俳句界』2009年9月号「俳句と川柳の境界線」を読む
あまり知らない同士だと、俳句からは「サラリーマン川柳」しか見えず、川柳からは「おーいお茶」しか見えないのかもしれない。

2009/09/12

ペチモン

パチモンとも言います。関西の言い方。贋物とか紛い物のこと。まえまえからのペチモンへの関心が、このところ急激に高まってきました。

パクリジャケット part 1(part 2 もあります)

2009/09/11

別の草 加藤かな文句集『家』

別のところへ目を向ける、というか、同じ景色、同じフレームで、別のものに焦点を当てると、新しく格別の興趣が生まれる。

巻きついて昼顔の咲く別の草  加藤かな文

掲句所収の第一句集『家』には気持ちのいい句がたくさん。

平成5(1993)年から平成20年までの300句がほぼ編年で並んでいるのですが、経年の作品変化も感じました。ここは微妙で自信はないのですが、年を経ると、言い回しで虚をつく、はぐらかすような句が増える(ほとんど良い意味で、の話です)。例えば「大きくも小さくもなく初日あり」「露ほどの露と思ひぬ草の上」のような句(どちらも自分は好きですが)。初期は、生成(きなり)の美しさ、面白さを持った句が多いように思いました。一本筋の通った作風でありつつ、変化はしていくものなのかなあ、と。

他に好きな句を気ままに。

天幕の何覆ふなく春半ば  加藤かな文(以下同)

朝日から鳥の出てくる寒さかな

いつぱいの根に朝が来るヒヤシンス

立冬や鏡に乾く歯磨粉

毛布からのぞくと雨の日曜日

夏祭つまらぬものを買ひにけり

することのなくてしばらく春の風邪

鉄棒にもたれてをりぬ盆踊

棒なんぞあつて焚火を好きにする

踏切の開くときしづか霙降る


季節柄、昼顔の句を掲句としましたが、「いつぱいの根に」はほんとうにいいなあ、と思う。「朝日から~」は帯にもあり、代表句的な位置づけなのでしょう。「毛布から~」はいくつかのブログで評判になっている句。どれもいいですね。

2009/09/10

スーダラ節

ああ、なんて素敵な!

2009/09/09

金星

衆院選での政権交替は海外メディアの注目が高いようです。

まともな記事は山ほどあっても記憶に残るのは鳩山夫人の金星旅行

いわゆる一流紙がいわゆるタブロイド誌的な話題に絡んでいいとなって、通常とはひと味違う盛り上がり方をする、というのは、遠い海外のこととはいえ想像がつきます。

魂はどこへでも行けるんだから(巫女の例がそう)、騒ぎ立てることはないようにも思えますが、組織名(サイエントロジー)が出るとなると、話は別。今後に注目です。


2009/09/08

おつけもの

丸越」という屋号、本拠は名古屋。いずれにも、美味のイメージは(失礼ながら)ない。

なのに、美味。とても美味。とりわけ茗荷とか。

名前や出自で判断してはいけないことがある。

2009/09/06

忌日俳句

週刊俳句のスピンオフ第2弾、「忌日俳句をつくろう」がスタート。
http://kijitsu-haiku.blogspot.com/

私自身はふだん忌日俳句をまず作りません。とりたてて理由はないのですが、強いて挙げれば、「作る面白さ」みたいなものがピンと来ない。句会でいただくこともほとんどない。

でも、半面、楽しく作れそうな気もする。

  つばめむかしへ帰るチェ・ゲバラの忌  天気(旧作

余談ですが、この句のリズムについて訊かれたことがある。言うまでもなく七五五

  七  つばめむかしへ
  五  かえるちぇ(休符)
  五  げばらのき

…の定型。

備忘録:ネガティブ・キャンペーン(続)

どこかは知らないが広告代理店がつくった、低劣なアニメ、子供を使った見えすいたあてこすりのようなネガティブキャンペーンに、多くの国民は目を背けたに違いない。
こういった広告をつくる代理店も、それを作らせた政権の担当者も、この広告が示している低劣な当てこすりがどれほど国民をバカにした印象を与えることになるのか、どれほど自らの品位を毀損することになるのかについての想像力を徹底的に欠いていた。
このネガティブキャンペーンが、そのまま麻生太郎の顔に二重写しになってしまい、この政権が自分たちの代表であるということに耐えられないものになってしまったのではないだろうか。

日本人は自分らの代表が、自分たち以上に悪辣だったり、吝嗇好色だったりすることには寛容であり、むしろ国際社会の老獪な古だぬきと対抗するためには必要な資質であるとさえ思うものだが、自分たち以上に小粒であったり、品性に欠くものたちであることを容認しない。
敗北の理由。:カフェ・ヒラカワ店主軽薄


2009/09/03

オルタナティブはしばしば危ない

必読。2本。
JBpressのホメオパシー礼賛記事を笑い飛ばせない理由:幻影随想
ホメオパシーは世界で最も安全な医療?:kikulog
次期首相になるはずの鳩山さんは「代替医療」推進派です。(kikulog)
ありゃま。

健康とか医療とか、社会保障とからめて、たいへん重要なテーマなわけですが、前掲記事にあるように、「笑っていられない」深刻な事態を招きかねないということでしょうか。

オルタナティブへと、検証もなしにぐわっと傾いていくのって、かなりヤバいのでは?

代替医療と代替政権がイヤな感じでクロスした夜。

2009/09/02

雨乞い

おもしろいクイズが千野帽子氏の連載にあった。
某国の某村には、伝統的な雨乞いの踊りがある。/それをやると100パーセント雨が降る、と村人は口を揃えて言う。/いったいどんな踊りか?
「わかる」とは、因果関係をでっち上げることである。(前)
答えは当該記事をどうぞ。

これを読んで、関係のあるようなないようなことを思い出した。むかし人類学の先生から聞いたひとこと。

  乾季に雨乞いをする人たち(民族)はいない。

儀礼と因果論に関して、なかなかに示唆的です。

「つ」と「づ」

池袋駅にさしかかったとき、広告看板に「ものつくり大学」の文字。「ものづくり」だと思っていたが、「ものつくり」なのか。

ええっと、濁音便、正式には「音便の濁音型」というらしい、その話です。

「手作り」を「てつくり」とは言わない。なんだか別のものみたいに聞こえます。鉄栗? なお、罪作りは「つみつくり」です。

「ものつくり」なんて読み方がおおっぴらになっているとすると、濁音便は減少傾向にあるのかもしれません。宮仕えを「みやづかえ」じゃなく、「みやつかえ」と読んだり? お小遣いが「おこつかい」になったり? 金蔓(かねづる)が「かねつる」になったり?(蒲鉾メーカーみたいですね)。

ものつくり? 国語的にどうなのか知りませんが、ヘンなの。なんか、顔にデキモノをつくっちゃったみたいな感じです



さて、「春隣」という季語。人によって「はるどなり」と「はるとなり」に分かれるようです。

両隣(りょうどなり)、右隣(みぎどなり)と同様に、私は「はるどなり」と読んでいます。「はるとなり」だと「春となり」みたいに聞こえちゃうから、というのもある。「はるどなり」が「春怒鳴り」に聞こえることは、まあないだろうと踏む。

大辞林では「はるどなり 【春隣】 〔「はるとなり」とも〕…」とある。講談社大歳時記には「はるとなり」しか読みが示されていない。「春隣る(動詞)」は「はるとなる」としか読みようがないが、合成語の名詞と捉えるなら、濁音便が入っていいと思うが、どうなのだろう。俳句では「はるとなり」が主流なのか。

  叱られて目をつぶる猫春隣  久保田万太郎

2009/09/01

備忘録:だから「チャンネルを換えた」

でも、もう私たちは自民党に飽き飽きしていた。/麻生太郎があの見下したような目線で、記者の質問にまったく答えようとしない横柄な態度をこれからまたテレビで見せられるのかと思うとげんなりしたのである。/だから「チャンネルを換えた」のである。/いずれ似たような番組であることに違いはないのだが、こちらの役者にうんざりしたのである。違う芸風の芝居が見たくなったのである。
台風の予兆の中で:内田樹の研究室