2012/07/26

手塚マンガ、ベスト5

『日蝕狩り ブリクサ・バーゲルト飛廻双六』の著者、武村知子に『どろろ草紙縁起絵巻』という著書もあることを知り、中古本を入手。ところが、届いてみると、もっぱらアニメを論じた本のようで、ちょっと目当てと違った。テレビアニメ(?)の「どろろ」は知らないなあ。観たことがあるようなないような。

冒頭付近に、数ある手塚治虫マンガのベスワンに「どろろ」を選ぶファンが少なくない、とあり、ちょっと意外なな気がしたが、半面、わかる気もする。

自分はそれほど数を読んでいるわけではないが、思い入れは、ある。ベスト・ワンは?と考えてみて、なかなか決められないが、ベスト5くらいなら、と。

どろろ
W3(ワンダースリー)
アトム大使
鉄腕アトム・海蛇島の巻
鉄腕アトム・赤いネコの巻
(順不同)

アトム関係で3つも入れてしまったが、まあ、いいでしょう。

「どろろ」は、単行本にして4巻程度の中編。100の部位を妖怪から取り戻すまで連載が続いてほしかった。

「W3」は、ベストワンに挙げる人が多いようですね。ラストの泣ける感じ、胸がいっぱいになる感じは、ジュブナイルとしての王道。

「アトム大使」は鉄腕アトムとしてシリーズ化されることになった第一作(もともとは単発の予定?)。むかし『ユリイカ』かどこかで四方田犬彦がラカンの鏡像段階などを援用しつつカッコよく論じていました。アトム・シリーズに一貫して流れる諦観、ペシミズムが、この宇宙人遭遇物語で、すでに。

「鉄腕アトム・海蛇島の巻」は1958年(1953年「アトム赤道を行く」のリメイク)。夏の浜辺、瓶詰の手紙、夜遊びのように夜ごと家をでるアトム、シリーズ中唯一とも言えるアトムの恋情と失恋、アトムの女装(トランヴェスティスム)・しかも衣装交換、等々、見どころだらけ、全編が夏の光に包まれたような物語っす。

5つ目は揺れそうです。別の日ならほかのが入ってくるかもしれません。「鉄腕アトム・赤いネコの巻」は、今で言うエコロジー。武蔵野の森(手塚治虫は関西の人なので、きわめて虚構的な森です)とマッド・サイエンティストの配合は、なかなかのものです。


結局、思い出話のようになってしまいますが、また、何かを読み返す機会があって、別の作品が上位に来るかもしれない。ベストテンまで広がるかもしれない。楽しみにしておきます。


【 補記】手塚治虫関連で、歌仙を巻いたのを思い出しました。

≫四吟歌仙・アトム連句 赤いネコの巻  満尾2003年03月18日
http://www.asahi-net.or.jp/~xl4o-endu/renku6.htm

≫七吟手塚治虫歌仙「淡雪の巻」  満尾:2012年 3月12日
http://8421.teacup.com/namubow3/bbs/144

みなさん、よくやるわ。数奇者がまわりにいっぱいいてくれる私は幸せ者です。

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