バナナという季語が好きなのは(好きな季語・そうじゃない季語があるみたいですよ、俳句を作る人はたいてい誰でも)、なんだか素っ頓狂な感じがするからです。
バナナ、というだけで、ちょっとにんまりして、からだの力が抜ける感じです。
さて。
心臓に筋肉ありてバナナかな 瀬戸正洋
あのですね、心臓って筋肉のかたまりなんでしょう? よく知らないけど。
ヒト人の心臓はさわったことがありませんが、サメの心臓なら、あります。まさに筋肉でした。「ありて」なんてものではないです。「心臓は筋肉ですね」(五七)ですよ、まったく。
この句における「バナナ」の働きについて、すこし考えましたが、わかりませんでした。説明がつかない。これ以上、ないアタマをめぐらせてもしかたがない気がして、「ああ、バナナかあ。バナナだよな」と、ここに「バナナ」の語があることの《おもしろさ》に包まれたまま、初夏の午後を過ごしたことでした。ふだんとおなじに心臓を動かしながら
掲句は瀬戸正洋『俳句と雑文B』(邑書林/2014年1月)より。
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