『川柳カード』第11号(2016年3月25日)より。
ヌルヌルの会見場のパイプ椅子 兵頭全郎
冒頭の「ヌルヌルの」は、パイプ椅子に掛かると考えれば、なるほどという形容。ぬるぬるしてますよね、あの、安手のパイプ椅子。
けれども語順のせいもあって、会見場が「ヌルヌル」している気もしてくる。こちらは「なるほど」からは遠く、やや奇妙な、それゆえ妙味のある把握。
ま、考えてみれば、ぬるぬるのパイプ椅子があれだけたくさん並べば、場所全体がぬるぬるしてきて不思議はない。そしておのずと、集まった人間たちもぬるぬるしてくる。
ああ、いまや、私のアタマのなかは、会見=ぬるぬる、という等式でいっぱいです。
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