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空間を冷やしてゐたり冷蔵庫 齋藤朝比古
「元日の開くと灯る冷蔵庫」(池田澄子)というくらいだから、閉まっているとき、中は真っ暗闇。たしか野口裕さんがそれを確かめるために実験をし(冷蔵庫の中にカメラを入れタイマーを仕掛けた)、実際、真っ暗だったという。
空間を冷やしていることは、開けたときわかるが、本筋、つまり冷蔵庫が本気で冷やしているのは、トビラが閉まっているあいだである。何も見えない暗闇を、その冷えを、この句はみごとに言い切った。なんとも限定的な、四角い空間。それこそクールな口調で、ただ単に。そこが可笑しい。
『豆の木』第13号(2009年4月)より
齋藤朝比古10句作品「特撮」には、表題作「特撮の糸見えて冬あたたかし」、「鶏頭のふつと和室の匂ひかな」「右中間ひろびろ雁の渡りけり」「雪もよひ家のかたちに薬包紙」など、佳句がたくさん。
1 件のコメント:
クールより、元気な人なんだと思う。
抗生物質系のお薬は、冷蔵庫で保管と、
処方箋を読めば、カメラで記録とるって程では、ないですが、、、、?
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