2009/10/06

「や」の上五

「○○や」と上五を「や」で切る場合、どうしても○○には季語が入ってしまう。と露結さん。

季語じゃないケースも探せばたくさんあるのだろうが、「おさまり」という点からも、圧倒的に季語が多い。ひょっとしたらルールがあるのかもしれない。

むかし、俳句を始めて1年くらいのときにつくった句。

  洗脳や蛇口の下の秋野菜

脳と野菜を「洗」で繋ごうとしたわけではないだろうが、何を思ってつくったのか、まったく憶えていない(きっと「洗脳」という言葉が使いたかったのだ)。長谷川裕さんには「物質や」という凄い上五の句があるが、所収の句集『彼等』がすぐに出てこない。

いま、10年以上が経過して、自分のつくる俳句にほとんど進歩がないものの、慣れは人並みにあるので、季語以外の「や」付き上五はなかなか出てこない。進歩はないのに、ムチャはできなくなっている。ということは、はっきりと退歩である。あーあと、ため息。一生懸命、ムチャをやんなきゃ、ざんす。

3 件のコメント:

四童 さんのコメント...

「愛欲やだらりと重き鯉幟」という句をその昔作りました。私が死んだとき、仲間内で忌日が「愛欲忌」と呼ばれるのは避けたいものです。

露結 さんのコメント...

「古池や~」という有名句もありますが、○○やの○○に季語以外の言葉を入れると○○にかなりの比重がかかってくるようです。
するとどうしても中七、下五が○○の説明っぽくなってしまうのです。

tenki さんのコメント...

四童さん。愛欲忌だろうが何だろうが、誰かの記憶にとどまるのは幸せでは? ふつう忘れ去られるわけですから。

露結さん。おっしゃるとおり、A(上五)=B(中下)と等式俳句になりやすい。

中年や~という有名句もありますね。これも若干イコールな感じ。

古池や~は、「や」ではなく、散文的には「に」の助詞でも意味が通るので、イコールを免れる、ような気も。