2017/07/29

■平日の噴水 『絵空』第20号より

平日を見てゐる噴水のまはり  茅根知子

視界にあるのは「噴水のまはり」。それはすなわち「平日」という、かたちがなく見えないものを「見てゐる」ことになる、と解した。

噴水の近くを歩く人、腰かける人の種類・様相は、平日と休日でずいぶん違うのだろう。オフィス街の広場の噴水とかだとね。

軽い意表から切り込んで、「まはり」への着目・ていねいな記述で、その場そのときの空気や明度が伝わる。

掲句は『絵空』第20号(2017年7月15日)より。

なお、同誌掲載の茅根知子「他人」12句には、次のような句も。

五月来る梯子があればのぼりたし  

遠雷や手にざらついてくる卵  

錆びた音たててくちなは進みけり  

暗がりに金魚が息をしてゐたる  

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