平日を見てゐる噴水のまはり 茅根知子
視界にあるのは「噴水のまはり」。それはすなわち「平日」という、かたちがなく見えないものを「見てゐる」ことになる、と解した。
噴水の近くを歩く人、腰かける人の種類・様相は、平日と休日でずいぶん違うのだろう。オフィス街の広場の噴水とかだとね。
軽い意表から切り込んで、「まはり」への着目・ていねいな記述で、その場そのときの空気や明度が伝わる。
掲句は『絵空』第20号(2017年7月15日)より。
なお、同誌掲載の茅根知子「他人」12句には、次のような句も。
五月来る梯子があればのぼりたし 同
遠雷や手にざらついてくる卵 同
錆びた音たててくちなは進みけり 同
暗がりに金魚が息をしてゐたる 同
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