2017/07/15

■大木vs黒揚羽 『なんぢや』第37号より

大木に吸はれてゆくは黒揚羽  下坂速穂

受動態の構文は、黒揚羽の受動と大木の能動を同時に伝え、動きの中で二物があざやかな対照を成す。景の、叙述のシンプルさが心地よい。

世界に(視界に)それとそれしかない/世界はそれとそれで成立している、と思わせる切り取りの明快さは、俳句のあきらかな美点のひとつ。

『なんぢや』第37号(2017年6月10日)より。

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