砂男(sandman)の伝承(幼年期のファンタジーにせよ怪奇にせよ)からすると、砂と眠りの関連は、西欧出自のようにも思えるが、いまやすでに広汎に、私たちの想像力を覆っているとみていいでしょう。
私も《春眠の砂の流るる斜面かな》(『けむり』所収)とつくってみたりしているし、最近も、
春眠やボトルシップの中に砂 黒岩徳将〔*〕
を読んで、あ、いいな、と思ったのでした。
ボトルシップの中にはたしかに、安定させるための砂が敷いてあったりするもので、この中七・下五には、いろいろな季語がくっつくのだろうけれど、春眠を持ってきたことで、《砂と眠り》のモチーフ的広がりへと、読みが連結されるわけです。
船だから海の開放感を呼び、なおかつボトルだから、密閉感も召喚され、そこがまた眠りへと結びつく。
なにげないけれど、機微を備えた句だなあ、と。
〔*〕『つくえの部屋』第5号(2020年4月)
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