2020/06/03
【句集をつくる】第22回 セルフカヴァー
ある人と類句の話をしていて(このご時世ですから対面ではありません)、自句のなかのそっくりな句という話題になりました。句会で一人の人から似た句が出てくるくらいなら愛嬌ですが、句集の中に、となると、ちょっとね、というところがあります。
〈自句のなかの類句〉にはいくつかの層というかカテゴリーがあって。
1 同じ句が句集の中に入っちゃってる
単なるミス。そっくりどころではない。なさそうで、あります。何度か見たことがある。並べ替えたり差し替えたりしているうちに、起こってしまう事故。他人事じゃない。エクセル利用して確かめたりしましたよ。前の句集のときは。
2 同工異曲
得意のアプローチや処理法が繰り返し用いられる。誰にもありがち。ポジティブな効果として、味わいにバラエティを生む一方、この四文字熟語のネガティブな側面、すなわち、材料は違っても「やりくち」は同じ、という印象が生まれれば、それはやはり読む側も退屈する。
これ、句集に限らず、ふだんの作句でも、〈自己模倣〉が分厚い壁になるケースがありますね。でもこれはまあ、ある程度、作風を確立している人の悩みでしょう。私の場合は、いまだに自分の作句の傾向とかわからずにその場その場、そのときぞのときで作っているので、この悩みは少ない。
以上は、句集づくりの際の留意点ですが、同じような句をわざとこしらえる、というケースもあります。人によっては避ける、そんなことはしない、のでしょうが、私は自分の句をいじるのが(既発表であってもさらにいじるのが)好きなので、わりあいやります。
セルフカバー(カタカナ英語)です。
いま思いついたところでは、「走れ変態」(2014年7月)という連作に、
夏ゆふべドンキホーテで鞭を買ふ 10key
というのがありまして、これをいじって/もじって、
歳晩のドンキホーテで餅を買ふ 10key
どちらも句集に入れるとしたら(こんなの入れるんかい!というツッコミ/お叱りには、はい、いいかげんなのをどんどん入れちゃいます、と答える)、ページを考えないといけません。いまのところ、季節が違うし、テーマも違うので、近くには置けません。次の見開きの同じ位置とかがいいかもしれません。
なお、この句は、これ以前に、
秋深しドンキホーテで紐を買ふ 10key
というのがあって(上京悲話・2011年10月『鏡』第2号)、いろんなものを買っている。
話題をもうひとつ。以前につくったのが(どこかに出しているかも)、
青蚊帳によこたふ父といふ鈍器 10key
青蚊帳にたゆたふ乳といふ鈍器 10key
パロディっぽい。同ページに並べるよりも、連作の前半と後半とか、視界内でちょっと離すのがよさそうです。
んんん、こんなことを書いていると、句集をつくりたくなっちゃいますね。
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