2020/06/09

【句集をつくる】第24回 続・掉尾の一句

 承前≫http://sevendays-a-week.blogspot.com/2020/06/22_5.html

前回が面白かったので、もうちょっと、句集最後の句について。

ちなみに、拙句集『人名句集チャーリーさん』(2005年1月)の最後の句は、

霊長類ジミー大西なる隘路  10key

さて。

拾っていきますよ。

ゆと揺れて鹿歩み出るゆふまぐれ  生駒大祐

『水界園丁』(2019年6月)。んんん、雰囲気雰囲気。鹿のこの句集での出現頻度は確かめていないけど、深く印象に残る。のは、最後が鹿だからか。

白藤や此の世を続く水の音  岡田一実

『記憶における沼とその他の在処』(2018年8月)。水音と白い藤の花の組み合わせが清らか。「を」がいいですね。助詞をめぐっては、この作者の別の句を材料に、文法と修辞、用例と表現刷新をまぜこぜにしたような議論もありましたが、俳句(と限らず表現)は、なんでもアリ。誤用・誤字・造語を含め(評価とは別に)。ま、この「を」は順当な用法ですが。

投函のたびにポストに光入る  山口優夢

『残像』(2011年7月)。話題作・問題作として知られる無季。俳句全体・俳句業界全体へのスタンスというか覚悟みたいなものがうっすら感じられる。

鶴眠るころか蠟燭より泪  鳥居真里子

『月の茗荷』(2008年3月)。鶴と蠟燭という素材からだろう。八田木枯を思う。木枯さんがこの句を見ていたら特選に選んだろうなあ、と、勝手に、不遜にも、想像。いずれにせよ、素晴らしい。美しく、湿度があるのに、句の立ち姿が毅然。

綺語(きぎよ)生れよ水銀灯の手くらがり  高山れおな

第一句集『ウルトラ』(1998年10月)。季節の順に章が並び、最終章は「雑」。その最後の句。綺語は〈真実に反して言葉を飾りたてること〉〈美しく飾った言葉〉と辞書にある。

列車来ぬおのが照らせる雪衝きつつ  栄猿丸

『点滅』(2013年12月)。言われるところのこの作者のトリヴィアリズムとはまた違ったある種本格を感じさせる句が締め。

朝が来るまた菫から始めます  広瀬ちえみ

川柳からもひとつ。『雨曜日』(2020年5月)は出たばかりの句集。メージをめくり終える最後にまたもう一度、始める。清々しい掉尾。

俳句思えば霞に暮れて朧月  池田澄子

『拝復』(2011年7月)。五里霧中など慣用句でなく、霞と朧。同様の心情を譬えるにしても。なお、帯の自選には《俳句思えば徐々に豪雨の吊忍》が挙がっている。


ほかにも挙げたい句集がたくさんあるが、このへんで。

手元の句集を、新旧含め(あまり古いものは除いた。句集を編むという意図が今とはずいぶんと違うような気がしたので)、再度ぱらぱらめくる作業は愉しかった。

こう並べたものを見て、私同様に愉しんでくれる人が、きっといるよね?

ラヴ&ピース!

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