ところで、いっけん〈非=五七五〉のように見えて、〈五七五〉が強く意識されているケースがあります。同じ『豆の木』第22号では、
幣辛夷ほどけて心臓の高さ 近恵
落花生ください明け方が近い 近恵
一匹の芋虫にぎやかにすすむ 月野ぽぽな
といった句。どの句も、5453。中の7音が崩れているが、全体の音数は17音。これらは五七五定型と亜種とみなされる。
それぞれ、
しでこぶし/ほどけてしんぞ/うのたかさ
らっかせい/くださいあけが/たがちかい
いっぴきの/いもむしにぎや/かにすすむ
と読めば、五七五定型感が強まる。独特のビートが出やすく、じつは、この5・4・8(5+3)のかたち、わりあい見かけるかたち。
ところが、同じ17音でも、
通勤電車とけて牛蛙の眼 鈴木健司
となると、7361。548から離れ、五七五定型感が薄まる。〈非=五七五〉とすべきでしょう。
それはそうと、通勤電車の融解という禍々しいようなナンセンスのような景が、「牛蛙の眼」の質感に連続して、おもしろい。
で、本日はここまで。長くなるまえに終わって、小出しに回数を稼ごうと思います。
ラヴ&ピース!
(つづく)
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