2020/09/11

■〈非=五七五〉を愉しむ・その2


ところで、いっけん〈非=五七五〉のように見えて、〈五七五〉が強く意識されているケースがあります。同じ『豆の木』第22号では、

幣辛夷ほどけて心臓の高さ  近恵

落花生ください明け方が近い  近恵

一匹の芋虫にぎやかにすすむ  月野ぽぽな

といった句。どの句も、5453。中の7音が崩れているが、全体の音数は17音。これらは五七五定型と亜種とみなされる。

それぞれ、

しでこぶし/ほどけてしんぞ/うのたかさ

らっかせい/くださいあけが/たがちかい

いっぴきの/いもむしにぎや/かにすすむ

と読めば、五七五定型感が強まる。独特のビートが出やすく、じつは、この5・4・8(5+3)のかたち、わりあい見かけるかたち。

ところが、同じ17音でも、

通勤電車とけて牛蛙の眼  鈴木健司

となると、7361。548から離れ、五七五定型感が薄まる。〈非=五七五〉とすべきでしょう。

それはそうと、通勤電車の融解という禍々しいようなナンセンスのような景が、「牛蛙の眼」の質感に連続して、おもしろい。

で、本日はここまで。長くなるまえに終わって、小出しに回数を稼ごうと思います。

ラヴ&ピース!

(つづく)

0 件のコメント: