意味了解性が比較的薄いこと、いわゆる「膝ポン」俳句、「あるある」俳句、標語俳句が少ない(ほとんど無い)こと。そんな傾向も見られます。従来的な俳句の集合、効果面でのマジョリティとは離れたところにあるようです。
では、引き続き『豆の木』第22号から。
みづむしの足フランスから郵便 高橋洋子
5-2/4-2-4。後半、PAR AVIONの赤青白が目に飛び込む。それは国際郵便の色であり、フランス国旗の色(トリコロール)でもある。洒落て清新な後半の前半がなぜに水虫? ああ、これこそが俳句の不思議です。
姿かたちは法廷まなざしは雪 田島健一
7-4/5-2。散文的な妥当をいくつも壊しているので、「難解」「わからない」の誹りを受ける典型のような句。作者・田島健一は「難解」批判、「わからない」迫害の渦中に長くいる作家(大袈裟に表現してみた)。
みづむしの足フランスから郵便 高橋洋子
5-2/4-2-4。後半、PAR AVIONの赤青白が目に飛び込む。それは国際郵便の色であり、フランス国旗の色(トリコロール)でもある。洒落て清新な後半の前半がなぜに水虫? ああ、これこそが俳句の不思議です。
姿かたちは法廷まなざしは雪 田島健一
7-4/5-2。散文的な妥当をいくつも壊しているので、「難解」「わからない」の誹りを受ける典型のような句。作者・田島健一は「難解」批判、「わからない」迫害の渦中に長くいる作家(大袈裟に表現してみた)。
この句、好きですよ(今回のシリーズであげている句はそれも好きです)。意味は辿るけれど、因習的に解釈しない。意味の因習から逃れていることがこの句の価値だと思うから。
まあ、それよりも、事物の感触と空間への布置を味わう。科学への態度。そのまますなおに、法廷の姿かたちしたものを脳内に繰り延べて、まざさしという形のないものに、雪の色と形状と温度を与えてみる。すると、私(読者)のなかで、きわめて新鮮な経験が沸き起こる。
約束って恐いよね ブーツ履かない 中内火星
6-5/3-4。対句ではなく対話のような作り。若い女性が想起されるのは、口吻とブーツのせいか。
痛みはじまり主よ加速する新緑 中嶋憲武
3-4/2/5-4。上掲3句の構造=前半と後半で2部構成と違い、「主よ」の2音が挟まる。切字以上に大きく切れるかのような形。意味的には前半と後半がわりあい順当に照応する。つまり、新緑のなか痛みが始まることに(そう散文的に示していないが)、なぜか実感。
それにしても新緑の加速は魅力的な言いぶりですね。
こんなところで、いったんおしまい。
〈非=五七五〉の俳句、愉しんでいただけましたでしょうか。
ラヴ&ピース!
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