2020/11/24

■ずれる 普川素床の川柳

ごはんほかほか顔の左右の不思議なずれ  普川素床

前半は穏やかで幸せな事象。まあ、日常の明るい側面。そこから、後半、文字どおり「ずれ」て、少々不穏。

人間の顔は厳密な左右対称ではなく、左右でいくぶん違う。近頃は小さいときから片一方の奥歯でばかり嚙むんでいるせいで顎や輪郭が非対称になる人が増えたという話を聞いたことがあるが、それはそれとして、少々の非対称は美的にも問題がないだろう。むしろ魅力的だったりする。その話も置いておいて、この場合、《不思議なずれ》だから、あるとき、非対称を《不思議》に感じてしまったのろうか。

自分の顔なのか、ごはんをいっしょに食べる人の顔なのか、それで句の情景は変わってくるが、私は、一読、自分の顔と読み、そのあと、目の前の顔のほうが不穏さ・不思議さが増すように思うようになった。
ちなみに、この句は、樋口由紀子『金曜日の川柳』に収録されていて、樋口氏は、自分の顔と解している。


余談。

ほかほかのごはんというと、真っ白な炊きたてを想像するが、わが家では長らく胚芽玄米と白米を1対2なので、たまに真っ白なごはんを見ると、なんだか奇妙な気がするし、味もちょっと物足りなかったりする。習慣って大きいですね。

ラヴ&ピース!



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