糊塗という語は良い意味では使われない。「この世」はとりあえず糊で貼り合わせておくこと、とりつくろうことが、とても多い。ふつうに考えてめちゃくちゃで、やってらんない。糊が大量に要る。
でも、せんぶの作業が終わったようだ。糊はちょっと余っちゃった。
昆虫の破片=破壊や壊滅のイメージは、さまざまな〈終わり〉のさらにその後だろうか。
掲句は『Picnic』第1号(2020年11月)より。ここに収められた榊陽子「糊余る」21句は、《秋牡丹西に傾く性交痛》やら、《ご覧なさいしっかり米が勃っている》になぜに「勃」の字を使うかなあ? とか、通常運転部分はあるものの、全体にエロ度は薄い。特定の作家に「エロ」ばかりを求めるのではないが(すでに八方から非難を浴びそう)、エロって、とことん素晴らしいので、ラヴ&ピース! ついつい求めてしまう。
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