2018/05/02

〔連鎖〕19 小津夜景≫西原天気

19 西原天気 2018-5-2


18 小津夜景 2018-5-1

ゆく春や子象を抱いて(泌尿器科)

老いらくの(皮膚科)なりけり雲の峰

さみだれの桃色となる(リウマチ科)

朝霧に濡れるオトナの(内科)かな

磁気吸うて白き虹斬る(肛門科)

夏草のベッドで燃え上がる(麻酔科)

秘儀のごとゼリーふるえよ(呼吸器科)

ジョンソンラヴズジョンソン白玉ジョンソンコントロール(言語療法科)

いかづちや恋の古傷(胸部外科)


17 川合大祐 2018-4-28

5 REM ###MUGEN SENRYU SEISEI###
10 LET H=1
20 FOR S=0 TO S=H
30 FOR R=1 TO 17
40 INPUT X$(R)
50 NEXT R
60 FOR U=1 TO 17
70 PRINT X$(U);
80 NEXT U
90 H=H+1
100 NEXT S

RUN

? イ
? キ
? モ
? ノ
? ノ
? マ
? ロ
? ミ
? ヲ
? オ
? オ
? エ
? イ
? ケ
? ブ
? ク
? ロ
イキモノノマロミヲオオエイケブクロ
?


16 喪字男 2018-4-24

幽霊が付録洗濯機が届く

→寸の回砂砂砂砂千の回→

エジプトがトランペットを眠らする

どこまでも鈍行愛を丸呑みに

ことことと煮るなりやっぱ固かったん?

くれそうでくれなさそうでただじわる

上りも下りも右側をご利用ください


15 西原天気 2018-4-15

14 なかはられいこ 2018-4-10

朝まだき白地に赤く味の素

凍結の路面キラキラ味の素

席に着くみな味の素握りしめ

祖母は振るなんにでも振る味の素

センターに立つのは赤で味の素

笛吹けば駆けつけるのが味の素

アイドルでヒーローだった味の素

味の素うまれる前のことを言う

バングラデシュの鈴木さんから味の素

花びらが降るのか味の素なのか


13 川合大祐 2018-4-6

月がばと星ぼしくらうぱっくまん

名月のしたにふたりでころしあう

まだ月を亀からもらうまどのなか

ごむの月のぼれば罰というすくい

海のみず月さびてゆくじけいれつ

わかものの月とかがやくさざれ石

たてものが半月のせてくずれるよ

おにがくるある月からのながい針

友だちのいぶくろ月とともにさる

あれが人だとならう月およぐまち

さばくからついてくる月はるは雨

きおくやら牛やらまだら月きえて

ぶつぞうになれないとどへ月の壁

きが沈むつきのかたちでない月が

春のなかきかいののうのくるう月

12 小津夜景 2018-4-5

花ぐもり一羽の鳥を調律す

菩提樹に溺れ二匹の美僧かな

ハンブルグ三滴の春したたらす

さしぐみてわが巡礼の四月馬鹿

射干玉の鳴るにむらがる藤五房

六体の耳さまよへる伽藍かな

天蒼ざむ七挺の手をうづめられ

八杯のふいに言問ふフォルテかな

九龍や此処はうつつの旅にして

十字切る蟬のはごろも匂ふ日は


11 西原天気 2018-4-3



10 なかはられいこ 2018-4-1

一年でいちばん忙しい三月に咲くのはやめてほしかった。
おかげであなたを見にゆけない、しかたがないけどあきらめきれない。


うちの神社のうちの桜とうちの空

桜から手が出て尾張一宮

言い方も態度もソメイヨシノ的

目を瞑るさくらもくれんねこやなぎ

舐めてみる桜に触れてきた指を


9 喪字男 2018-3-27

真昼の地下の6畳のキッチンのデニム地の中の窮屈そうなケツ

ここでは
鳥が吹いている
鳥が吹きつけている


この状況をどないsoon?


俺はただただお前のために

撃つよ

カラシニコフで

撃つよ

弾丸ではなく
歌舞伎揚を


8 小津夜景 2018-3-22

《MENU SPECIAL D’ÉTÉ》   

BOISSON
まむしのアペリティフ、復活の呪文風

ENTRÉE

満月に隠された蠍のタルトレット
わさびの花をあしらった裏窓の娼婦風サラダ
6つのエスカルゴ、大蒜の魔よけソースで

PLAT

太陽の恵みたっぷり青蛙のフリットと
純白ドレスのアスパラガス(泡風呂ソース添え)

DESSERT

片目の美女風アルマニャック
黄泉がえりのパパイヤ・ソルベ


7 なかはられいこ 2018-3-19

父がいたこと猫がいることいっせいに木蓮咲いて手つかずの町

死んじゃった大杉漣に死んだからだいすきですと伝えたい夜

ブランコの真下のくぼみに蟻がきて朝がきてまた真下のくぼみ


6 西原天気 2018-3-8

びつしりと去年の落ち葉や蝌蚪の下

土を見て土のうへなる梅を見て

星状のひかりの落ちてゐる干潟


5 小津夜景 2018-3-6

気配 → 避難。

びゅうびゅうとはためく てのひらが怖い 


土の中でもあんしんな座り方


星人と戦う枝のあいだより


4 なかはられいこ 2018-3-2

三月の空のどこかに蝶番

音読をすればぽぽっと梅の花

いそぎんちゃくと夜汽車いっときずれて鳴く

握ったら指のすきまをはみでる暮らし

春だから前髪自身おろそかに


3 垂直にまつわる3つの引用 quoted by 西原天気 2018-2-24
するとそこには、一人の天使と(相變らずこの言葉が、私を不安にし、誘惑し、氣持をわるくします。彼等に翼がある位なら、齒だつてないでしようか? 彼等はあんな重い翼、羽根の生えた翼《神秘な翼》で、翔ぶのでしようか? そして堕ちると變える天使という彼等の有難い名のおかげで、木乃伊になるのでしようか?)
ジャン・ジュネ『花のノートルダム』1944/堀口大學訳/新潮社1953
それにしても、イカロスはほんとうに墜落していくのか。イカロスは、やがて海中の深みに行って、すっくと立ちあがるのではないだろうか。
ガエタン・ピコン『イカロスの墜落』1971/岡本太郎訳/新潮社1974
「でも」とセラフィトゥスは答えた。「あなたはもっと広い空間を恐れずに見ているではありませんか」 p24

セラピムは飛び立つためにそっと翼をたたんだ。もう二人の方は振り向かなかった。もう《地上》とは何のつながりも持たなかったのだ。 p229
バルザック『セラフィタ』1835/沢崎浩平訳/国書刊行会1976

2 小津夜景 2018-2-23

深夜28時…。  


タルホニア博士は星型をした硝子の器に、新種のモリアオガエル式アンドロイドを浸しては、ひどく神経質な手つきでその青白い脚を洗っていた。窓の外では、ほわわん、ほわわん、と粋な超おんぱを奏でながら、雑種のコウモリが飛んでいる。コウモリは、この時代にしてなお生身の身体を死守しているファンキーな蛮族だ。


1 なかはられいこ 2018-2-22

運針のあとを音符がついてくる

英虞湾はしずか遠心力により

夜はまだ四つに畳まれたまんま

ひかがみが輝きここは泣くところ

しゅるるんとコードをしまう鳩尾に


タグ:連鎖ゲーム

6 件のコメント:

天気 さんのコメント...

13番目、川合大祐さん、ありがとうございます。

次は、なかはらさん、お願いします。

その次の15番目は募集にしましょうか。

(進行について、いまだ決めきれず、いろいろ考え中です。困ったことです)

天気 さんのコメント...

なかはらさん、ありがとうございます。

15番目はどなたかはじめての方、いかがですか?
このコメント欄にお名乗りでも、
tenki.saibara@gmail.com 宛てご連絡でもどちらでも結構です。

天気 さんのコメント...

なかなかお名乗りがないので、私が付けました。
物置きの奥のダンボールから出てきた40余年前の督促状。

次の16は、喪字男さん、いかがですか?

喪字男 さんのコメント...

天気さま

コメント見てませんでした…。
しかしこれ、面白いですね!

天気 さんのコメント...

喪字男さん、ありがとうございます。

18。小津夜景さん、ありがとうございます。おもしろい。

次は私がつけようと思います。

天気 さんのコメント...

19。安易に続けました。

次は、なかはらさん、いかがでしょう?