2016/11/04

■スラップスティックに過剰 久保田紺の一句

寒くなってまいりましたね。なのに、こんな話題でなんですが。

ホームランバーの当たりがとまらない  久保田紺

ホームランバーと聞いて、姿かたちまでは思い出せなくても、籤付きのアイスクリンであることはわかる世代です。

で、調べてみると。

http://bonkura-oyaji.blog.so-net.ne.jp/2009-09-12

ああ、これこれ。銀紙に赤・青の印字というのがこの手のアイスの定石デザインのような気もして、で、この手のアイスがたいそう好きでした。美味しそうでしょ? この包み紙。

さて、掲句。

当たればもう一本なのだから嬉しいのですが、「とまらない」となると、これはもう、当たったとか嬉しいとかいう話ではなく、なにかとんでもないことが起こっている。

食べたら、当たり。もう一本。食べたら、また当たり。もう一本。食べたら、また当たり。もう一本。食べたら、また当たり。もう一本……もう、笑うしかない。

これは例えば、『ぼくの伯父さん』(ジャック・タチ監督/1958年)、ビニールホース工場で、ホースが絶え間なく出てくる、あの可笑しさに似ているかもしれません。


久保田紺句集『大阪のかたち』(2015年5月/川柳カード叢書)より。


過去記事≫アフロとかポニーテールとかテンガロンハットとか
http://sevendays-a-week.blogspot.jp/2015/10/blog-post_25.html

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