2016/06/01

■火事と蝶番 『豆の木』第20号の一句

この先は火事のひろがる蝶番  三宅桃子

蝶番が結界のような位置付けで、こちら側の非・火事の領野に作者は立つ。

蝶番のカジュアルな使用感、カジュアルな形状。頑丈な扉ではなく、簡素でペラペラの戸だろう。大火事のドラマ性に、かえってコクが出る。重厚な大扉の醸し出す大ドラマとはひと味違ったコク。

ところで「結界」と呼んでしまいった以上、聖俗が生じる(読み手=私のなかに)。聖は、ひろがる火事。「この先」、どこまでひろがる(ひろがっている)のか見当のつかない火事。

すごい、火事。








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