週刊俳句・第507号(2017年1月8日)のトップ写真。
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「同じ場所に立っても、同じ落日には二度と出会えない」と、撮影した村田篠さんが言うように、夕刻の束の間、夕日の照り返しや空模様が絶妙に「絵」となったもの。この偶然の賜り物は、何時間見つめていても飽きないのだが、私がその「何時間」かのうちの相当の時間、心を奪われるものは、この写真の主たる映像とは、ちょっと別なところにある。
右手に見えるクレーンの下、おそらく工事用ブルーシートだろう、その青色。
写真に収められた「夕暮」の光景にとって、この青は、必要不可欠なものではない。広告写真なら、この部分を画僧処理によって取り去ってしまっても不思議はない(手前の電柱と電線も除去されてしまいそうだが、それはともかく)。この美しい夕暮の風景を見た、どの人も、この「青」は見ていなかったかもしれない。
けれども、ひとたびこの青が気になりだすと、この青を愛してしまうと、この写真を目にするたびに、「右のほうにある青」に心を奪われることになる。
私がこの青と出会った偶然を含め、この夕暮は、この青を得たことで、完璧な偶景となったのであります。
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