2017/01/24

■冒頭集:生命

ソルタレラ号は氷山のあいだを縫うように進んだ。私は、激しく上下する小型船の船べりから身を乗り出し、北極海の清冽な水のなかをのぞきこんで驚いた。ここにこれほどの生命がひしめきあっていようとは、思ってもいなかったからだ。極北の海には、種々雑多な生物が満ち満ちていた。まるで豆つぶのような、橈脚(かいあし)類と呼ばれるちっぽけな甲殻類が、何千個もまとまって海面近くを泳いでいた。
リチャード・フォーティー『生命40億年の歴史』1997(渡辺政隆訳/2003年/草思社)

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