2017/08/23

■抱き合うこと 『オルガン』第10号より

どこで切れるのかによって、見えるもの、伝わるものが変わってくる句というのがあって、

名のもとに滝ふたり抱き合う構成  田島健一

これもそう。

  名のもとに滝///ふたり抱き合う構成

なら、人がふたりで抱き合っている図。

  名のもとに///滝ふたり抱き合う構成

滝をひとりふたりと数えるかどうかは別にして、私はこちらで読みたい。

「構成」の語(構図ではないんですよね。通例からちょっとずつずらす手法)とのバランスで、滝が抱き合っているくらいのほうがいい。

けれども、ここで「名のもとに」が障る。雄滝雌滝が連想されて、説明っぽい。ううん、悩ましい。

ともあれ、じゅうぶんなワンダーと興趣ある質感を備えた句。

掲句は『オルガン』第10号(2017年8月8日)より。


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