2012/08/07

落蟬 対中いずみ句集『巣箱』より

落蟬の赤き眼の閉ざされず  対中いずみ
ぐぐっとズームインして焦点が合う。下五は「見開く」と肯定形にするか、この否定形か、選択部分。作者は後者を選んだ。

『巣箱』(2012年7月/ふらんす堂)には何気なく気持ちの良い句が数多い。以下、気ままに。
雨粒のあらき音なり桐一葉

雲すでに日を溜めてゐる野分かな

日の丸を仰ぎ鳥の巣仰ぎけり

白菜に蝶飛ぶ春のごとき昼
小春。冬の蝶。季語と季節の絡みを軽妙に遊んだ句。
はこべらのひよこはすぐににはとりに

引く波の砂に吸はるる秋の風
今日は立秋ですね。


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