予約したDVDをTSUTAYAが2本ずつ郵送で送ってくれるサービス。その2本に勝ち負けを付けるという、ヘンテコリンなシリーズの第19弾。送られてくる2本は、自分が予約していることにはいるのですが、組み合わせには偶然の要素が大きい。にもかかわらず、2本の映画に共通項が見出だせる不思議。というか、世の中のもの、どんな2つにもなんらかの共通項があるということか。ともかく、今回の2本は、ドイツ、ヨーロッパとアジア(イスラム)、死、と、いくつものの共通項があるですよ。
ミュンヘン スティーブン・スピルバーグ監督/2005年
そして、私たちは愛に帰る ファティ・アキン監督/2007年
「ミュンヘン」は1972年のミュンヘン五輪で起きたパレスチナ・ゲリラによるイスラエル選手殺害事件。その報復にイスラエル諜報機関モサドが秘密暗殺チームを組織、ヨーロッパ各地で暗殺を遂行していくというスパイもののような政治もののような。
緊迫感もあり、登場人物の魅力もあり。とりわけマチュー・アマルリック(「潜水服は蝶の夢を見る」の人ね)の一家。フランスの田舎で暮らしながら闇社会の情報に通じているという一家は「白猫・黒猫」(エミール・クストリッツァ)を思い出したりして、コク深。ただ、ラストに救いはない。殺人・謀殺に救いはないといいうメッセージなのか(単純に受け取れば)。
邦題が最悪な「そして、私たちは愛に帰る」(英題「The Edge of Heaven」)は、ブレーメンとイスタンブールを舞台に3組の親子のすれ違い(いくつかの意味のすれ違い)を描く。監督のファティ・アキンは「太陽に恋して」「ソウル・キッチン」が素晴らしかった(というか大好きな)監督。
ストーリー上の重要なポイントになる「死」が、なんともあっけないのは、「ミュンヘン」と大違い。「ミュンヘン」はテロであり謀殺ですからね。しかし/だからこそ、「そして~」の「死」はリアルで無常観溢れる。
どうもファティ・アキンのことを、私はかなり好きらしく、どの画面も、その展開も、じわっと来る。勝敗は「そして、私たちは愛に帰る」の勝ち。
でもね、映画で何を見せるのかという点で、この2本の映画は、じつは比べるのに無理がある。言い換えれば、映画で何を見たいのかという観客の態度にも関わる。
ちなみに、wikipediaによれば「そして、私たちは愛に帰る」は映画館大賞「映画館スタッフが選ぶ、2008年に最もスクリーンで輝いた映画」第85位、とある。えらく低いな。その年のランキングを見て(≫こちら)、ふにゃっと力が抜けた。
観てないのももちろんたくさんありますが、「ぐるりのこと。」(第2位)は好きな映画だから、まあいいとして(それにしても2位か!)、「おくりびと」(第3位)! 「崖の上のポニョ」(第10位)! ほかいろいろキリがありません。このへんと比べて10倍から100倍は良いです、「そして、私たちは愛に帰る」は。
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