2016/09/27

■睡蓮の意識 『鷹』2016年10月号の一句

『鷹』2016年10月号より。

睡蓮に日の差すやうに忘れけり  小川軽舟

睡蓮となんらかの意識と、相性がいいのは「睡」の字効果なのか。


ところで、こんな句もあって、

睡蓮に胸のあたりを切らるるよ  永田耕衣

「睡」よりも「醒」のイメージ。

「胸のあたり」は「意識」と言えなくもない。


それはそうと、忘れる、というのは不思議な行為で、というか、行為と言いきれないところがまず不思議で、失敗やら喪失やら(憶え損ねること、記憶が消え去ること)としか結びつかないことが、せつなくもあります。

(忘れたくないことは忘れ、忘れたいことはなかなか忘れられない)

睡蓮に日が差すと、色かたち、美しさが際立つようでいて、その瞬間、なにかが失われているのかもしれません。





0 件のコメント: