睡蓮に日の差すやうに忘れけり 小川軽舟
睡蓮となんらかの意識と、相性がいいのは「睡」の字効果なのか。
ところで、こんな句もあって、
睡蓮に胸のあたりを切らるるよ 永田耕衣
「睡」よりも「醒」のイメージ。
「胸のあたり」は「意識」と言えなくもない。
それはそうと、忘れる、というのは不思議な行為で、というか、行為と言いきれないところがまず不思議で、失敗やら喪失やら(憶え損ねること、記憶が消え去ること)としか結びつかないことが、せつなくもあります。
(忘れたくないことは忘れ、忘れたいことはなかなか忘れられない)
睡蓮に日が差すと、色かたち、美しさが際立つようでいて、その瞬間、なにかが失われているのかもしれません。
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