世界がすでにゾンビだらけというところから映画がスタート。人間(生きている人間)は居留地に閉じこもり、そこでは富裕層(支配者)と貧困層(被支配者)に二極化。こうくると、この映画のプロットがかなり読める。悪いのは支配者だよね、きっと。
街の支配者(デニス・ホッパー)がえげつなく、雇われている荒くれ者(こちらが主人公)も、ゾンビの群れも、敵は、支配層。なんだかヘンテコな革命劇の様相。
知性を持たないはずのゾンビ(走らない、しゃべらない、考えないがゾンビの3原則とか)が、あるときからコミュニケーションや道具にめざめる(なんか、サルからヒトへのジャンプの瞬間を、ゾンビで見るよう妙に感動的)。
ゾンビに知性を芽生えさせるのは、ゾンビ映画としてどーなの?なんですが、最後に(予想どおり)荒くれ者とゾンビがほのかに心を通わせるのであれば、この設定は必要。
精神的に腐敗した支配者を悪に据えたので、肉体的に腐敗したゾンビは、怖くない(むしろゾンビを応援したくなる)。ちぎれる手足や首、はみだす内臓もいまひとつグロくない。その面でのゾンビ映画ファンには物足りないだろうなあと思う。
でも、その趣味のない私にさしたる不満はない(おおおっ!と叫ぶほど吃驚するシーンがないのは寂しいが)。
星、2つ半。
※なお、星2.5個は、普通に楽しめるという意味で、悪い点数ではありません。
ジョージ・ロメロ監督には、次回作として「蟹工船のゾンビ」を期待(日本人ゾンビのほうが怖そう)。あるいは、自動車会社のトップやウォール街を襲うという設定でリメイク版を。
腐敗した権力に立ち向かうレジスタンス、市民革命の様相。
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