2009/06/06

ダニー・ボイル監督「スラムドッグ・ミリオネア」


貧民街と貧民窟の違いは何か? 貧民街を撮る社会派ドキュメンタリー、貧民窟が舞台の冒険活劇。

「スラムドッグ・ミリオネア」は後者。冒険も活劇もそれほどでもないけれど。

冒頭近く、貧民窟の子どもが野を走り、A.R.ラーマンのシンフォニックで広がりのある音がどーんと流れると、すでに映画的満足感がほぼ満たされる。

アカデミー賞8部門受賞のわりには…と残念がる声も多いが、仄聞するにアカデミー賞は映画会社その他のロビイングがモノを言う世界。賞とったから良いという思い込みさえなければ、ふつうに楽しめる娯楽映画。

ここからはネタバレを含む。主人公の青年はクイズで正解を続け、ついに億万長者となるが、隠れた才能(ずば抜けた記録力etc)があるわけでもなく、努力した(働きながらも驚異的な読書量etc)わけでもない。マジメはマジメだが、したことといえば、幼なじみの女性に執着したことくらい。負の境遇から抜け出そうともがき努力したのは、むしろヤクザの兄のほう。

億万長者になれた理由は、映画が最後に言うような「運命」ではなく「運」のように思えてしまう(そういえば、destinyとluckは似ていないが、運命と運はよく似ている)。

世紀の名作ではないけれど、1年に何度か観る映画のうちの1本としては充分に及第点の娯楽映画。

あ、そうそう、みのもんたはインドにもいる、あのキャラは普遍的だと、妙に納得できる映画でもあります。

星、3つ半。

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