まひるまの門半開の揚羽かな 安井浩司
半開きの門から揚羽が…と読んではつまらない。「まひるま」を時間の特定とだけ読んでもつまらない。「まひるま」=門→半開=揚羽。揚羽が、まひるまの門(あるいは、まひるまという門)の半開そのもののように在る。俳句形式のなかでことばが作用する、そのダイナミズムをそのまま呑み込むのがいい。
掲句は『俳句研究』(1978年1月号)特集「新俳壇の中堅」から引いた。この特集、阿部完市、穴井太、飯島晴子等々、38人の当時「中堅」が自選15句を挙げ、短文を付している。古書店でたまたま買ったものだが、「美味しいとこだけ」的にオトクな1冊。
安井浩司の自選15句で興味深いのは、「まひる」という語を含む句が4句もあること。
南北のなんでまひるの荻や馬
犬二匹まひるの夢殿見せあえり
死鼠を常(とこ)のまひるへ抛りけり
「まひる」がこの作家のキーワードなのか。たまたまこの時期だけなのか。もっと読んでみたい作家のひとり。
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