ウェブ上で古本屋を立ち上げるのにまず必要だったのは屋号。サイトを立ち上げるにもこれがなくては始まらない。
最初に頭に浮かんだのは「日曜堂」。プロとして古書店をやるわけではない。日曜大工みたいなものだから「日曜堂」。
地下鉄外苑前駅から北に少し歩いたところに「On Sundays」という舶来の文具やら絵葉書を扱う綺麗な店があった(*1)。店名から察するに、開店当初は日曜日だけ営業していたのではないかしらん、と思いつつ、若い頃、ときどき立ち寄った。あの「オン・サンデーズ」も頭のどこかに残っていたのかもしれない。なにしろとても居心地のいい店だったから。
さて、しかし、実際の店ならともかく、インターネット上には営業日も定休日もない。「日曜堂」の名はそぐわない。それではと「七曜堂」にした。
ここまで要した時間は数分間。これがいい名前かどうか、自分ではよくわからないが、いったん名称を迷い始めると、深みにはまることもしばしば。なかなか決まらなくて困り果てるいう事態も考えられたので、短時間で決まったのは「吉」ということだ。
麓しき春の七曜またはじまる 山口誓子
七曜というふだんあまり使わないことばが、しっかりと自分の心の中に備わったのは、この俳句を読んでからだと思う。
今回の思いつきが晩夏というこの季節でなく春だったら、もっと嬉しかったが、それはまあいいとする。ともかく年中無休だから「七曜堂」ということです。はい。
(*1)「On Sundays」を検索してみると今でもありますね。http://www.watarium.co.jp/onsundays/about.html
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6 件のコメント:
橋本多佳子の主宰誌「七曜」からてっきり取ったと思ってました。
炎天の梯子昏きにかつぎ入る
で、これぞ「天狼」の句と、西東三鬼が絶賛し、女誓子と呼ばれた橋本多佳子の隠れファンだったのかと、意外でしたが、違ったのね。
結社名「七曜」は、誓子のこの句、それから誓子句集「七曜」から来ているのだと思っています。
いなびかり北よりすれば北を見る 橋本多佳子
いいですねえ。
おお、そうでした。再刊された『俳句研究 秋の号』の「俳誌展望」にも誓子の掲出句を引いて、その由しるしてありましたわい。
倉橋みどり曰く「好奇心と無邪気さと執念。この三つは多佳子のキーワード」だそうです。
古書店も「好奇心」と「執念」は必要そう。あとひとつは「無邪気さ」だと足が出るから「天邪鬼」かのう。
我が町逗子には詩句歌集が結構揃っている古書店「海風舎」があるけど、店主がセドリで留守がちなのでインターネットで予約して送ってもらってる。御近所なのに(笑)。
もっとも、アメリカの作家ヘレーン・ハンフはニューヨーク14番地西95番街に住んでいたが、彼女にとっては数丁先よりも、大西洋の彼方のイギリスはチャリング・クロス街84番地にある古書店マークス社の方が近かったという話もあるから、距離も年月も、欲しい本の前ではコレクターには関係ないけどね。
「チャリング・クロス街84番地-本を愛する人のための本-」ですね。
http://www.asahi-net.or.jp/~wf3r-sg/ntz2hanff.htm
有名ですか? 私は知りませんでした。
読んでみたくなった。
中公文庫になってます。ヘレーンと古本屋の書簡集です。そんなに長くないからすぐ読めます。江藤淳の全著作が忘れられても、この翻訳は残るでしょう、というほどの名訳です。
「チャリング・クロス街84番地」は、映画にもなり、ヘレーンをアン・バンクロフトが、古本屋をアンソニー・ホプキンスが演じ、1988年英アカデミー賞主演女優賞受賞/助演女優賞を獲得しました。
この本の熱狂的なファンは、「チャリング・クロス街84番地」まで出かけたそうです。へへ、わしですたい。もう今はマークス社はクローズしてありません。64番地にあるSILVER MOONという本屋の女店主が親切でしたね。
即注文。多謝。
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