ああ、なるほど、これはいい、と一読して思ったのは、俳句を褒めていないようで気が引けますが、団扇の置き場所として、簞笥と簞笥の隙間はまことに好都合ではないか! ということ。
団扇は夏のあいだは、そのへんに挿しておけばいいけれど、シーズンを終えたあとは置き場所にあんがい困る。抽斗に仕舞うほどのものでもないし、仕舞うと、次の夏には忘れていそうです(忘れるなよ、という話)。かといって、出しっぱなしは、いかにも片付けが悪い。
簞笥の隙間なら、目立たない。けれども、ちょっと見えるので、忘れることもないでしょう。
畳での暮らしがうかがえて、「簞笥の隙間」は巧み。
でも、捨てがたいのですよ、これ。秋からの団扇の置き場所として。
掲句は『俳句の風』第17号(2016年6月)所収、「俳句の風賞」受賞作「春の野」より。
手を伸ばして届くところに挿しております、団扇。 |
0 件のコメント:
コメントを投稿