なわとびの輪の中からも発破音 樋口由紀子
この「も」は愉しい「も」。そこいらじゅうで発破音がしていそうです。
この句のある樋口由紀子第1句集『ゆうるりと』は1991年発行。第2句集『容顔』(1999年)の8年前。
人差し指が輝くときに旅に出る 同
足裏はいくら拭いても花曇り 同
干したままのハンカチがある私の胃 同
むらさきの廊下がつづく昼の喉 同
このあたり、世界の眺望・世界の感触と身体感覚が交接する妙味。
で、
ピストルが鳴らないうちに走り出す 同
こういう人、大好き。
待っていることはない、走り出せばいいのです。
(もっとも、走り出したはいいが、すぐに止まっちゃう人も多いのですが)
この句集、『ゆうるりと』と言いつつ、とりあえず走るよ、いろんなことは走りながら考えるし、ってな感じです。「樋口さん! これ、ダメでしょ?」てな句もあるし、ちょっと私の趣味嗜好がうけつけないたぐいの恋情・情念の句も少なくないのですが、きほん、走ってくれているので気持ちがいいのですよ。
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