雪我狂流さんの4つ目(?)の句集『帰ろかな』が出た。これまで同様、手作りの私家版。A6判と、文庫よりもさらに小さなポケットサイズ。秋の句ばかり93句を収録。どうやら季節ごとに1冊ずつ句集を作っていく、ということのようだ。
もつともだ薄荷の花が白いのは 狂流
あいかわらずキュートな句がたくさん。
以前、狂流さんの第一句集『御陰様』が私家版で出たとき、「もっとたくさんの部数を、ちゃんとした(何がちゃんとしているのか知らないけど)自費出版にす れば、きっと話題を呼ぶのに」と残念に思った。けれども、そんな野心めいたこと、それも他人が思うのは、あまり意味がない。こういう手もあるな、と、今は 思う。
何十万、あるいはそれ以上の費用をかけて、しかるべき(俳句系自費)出版社から句集を出すのも、それはそれで意義深いことだが、みな、それぞれのやり方でよい。俳句が、読み手に届くか届かないかは、器(本としての体裁)の如何とはまた別のことろにあるから。
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2 件のコメント:
中村十朗「家にかえろう」、雪我狂流「帰ろかな」、期せずして二人の天性俳人の句が同じようなタイトルで出るとは、至福の9月。毎日読み返しています。
狂流さんの句は、最近狂流さんらしいと言われるのに倦んだのか、少し外した句を詠もうとしている傾向があり、それがまたエエッ、狂流さんの句なのお!という驚きとなって、これがまたしみじみ地味で渋い。
秋蝉を聞くに縁側ありにけり
なんかその路線ですね。「縁側日和」という造語を「猫髭季寄せ 秋」に登録している縁側フェチとしては、ぐっと来る句です。
狂流さんと坐る縁側日和かな 猫髭
そう! タイトル見たとき、私も思いました。
みんな、帰ろう! ダンボール箱かかえてw、ということでしょうか。
♪両手をまわして 帰ろう 揺れながら(星屑の街)。秋になると、この唄を思います。
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正座して日向ぼっこをしてをりぬ 狂流 『御陰様』
これも縁側俳句ですね。
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