2016/08/11

■ぱらぱらと捲り始めた「現代川柳」西暦2000年時点

『現代川柳の精鋭たち 28人集-21世紀へ』(北宋社/2000年7月)という、書名と装幀がダサダサ〔*〕のアンソロジーから、もう少し。

〔*〕そんなこと言っちゃいけないのだ。

28人の最初は、石田柊馬(1941-)

ブロッコリーをかきわけてゆく三輪車  石田柊馬

石田柊馬の100句には切れ字(や、かな、けり)がある。川柳業界には切れ字の忌避があるとのことですけれど。

2人目の石部明(1939-2012)。こちらの100句にも切れ字「かな」が1句ある。それはそれとして、死と暴力と夜空のモチーフ(凶々しい処理も多い)が散在…

全身にもらってしまう月の痣  石部明

絹糸の括られている死後の朝  同

どこからも見えて性器の睡る空  同

…するなか、いちばん好きになったのは、

ボクシングジムへ卵を生みにいく  同

という句。

〈あっけあらかん〉が、どうも、自分の好みらしい。



おふたりぶん、200句を読んで、思ったこと。

1 内容(モチーフ、材料、技巧)とはべつに、口吻・口調が作家の輪郭をかたちづくる(という当たり前のこと)。

2 「現代川柳」という語は、少なくとも「現代俳句」よりは意味をなす。


まだ、もうすこし、このアンソロジーを取り上げるつもりです。


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