2016/12/09

■この時季に五月の句というのもなんですが 生駒大祐・攝津幸彦賞正賞「甍」の一句

『豈』第59号(2016年12月1日)掲載の生駒大祐「甍」(第3回)より。

五月来る甍づたひに靴を手に  生駒大祐

五月と甍は、童謡「こいのぼり」(屋根より高い♪と違うほうのやつね)によって直結。

炎帝やら冬帝といった擬人化もあるので、「五月」が靴を手にしてやってくる、と読んでも、なかなかに可笑しい景。

通常は上五の後ろで切って読むのだろう。それにしても、「なんでまた?」という可笑しさは残る(もっとも卑近な連想なら、間男の逃走)。

「来る」終わりの季語を選択している点、前者の誤読・擬人法読みも、すこし意識しているのかもしれません。

「づたひに」がなにげない工夫。ここ、だいじ。細かいところの仕上げがだいじな。雑な作り手だと、「の上を」とかやっちゃいそう。


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