2016/12/28

■一句の戦闘能力 「あやす」vs「いたぶる」

句を変えてみるという話が川柳作家・榊陽子さんのブログにあって。



ササキサンを軽くあやしてから眠る  榊陽子

ササキサンを軽くいたぶってから眠る  同

オリジナルの前者(第17回杉野十佐一賞受賞)が「どうにも生ぬるさが気に食わないので」、後者に変えるという話。


さて、「あやす」vs「いたぶる」。この対決、どちらの勝ちか。

私は、「あやす」が圧勝だと思う。

「あやす」から「いたぶる」へ、句の戦闘能力は減衰したような気がします。

冷酷さにおいて、戦略性において、狡猾さにおいて、暴力性において、「あやす」>「いたぶる」。

ことばはおもしろくて、語気の強い語、攻撃的な語のほうが生ぬるくなったりする。やさしい口調の人のほうがよほど怖い、てことは、世の中によくあることですし、ね。


なお、蛇足ですが、「ササキサン」がオトナであることが、今回の比較の前提。対象がササキサンではなく赤ん坊や子どもなら、このかぎりにあらず。



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